Statement

あなたの話を聞かせてください

 

宮原ジェフリーいちろうは選挙と現代美術を主なフィールドに、様々な活動を展開しています。

 

エンターテインメントの世界に生きて、見知らぬ土地にやってきた父。そんな彼と夜の街で出会って駆け落ちした母。自由な二人の間にひとりっ子として自由に育てられた私は、学校教育のなかで「手をあげても話を聞いてもらえない」という経験をするようになります。

発想が自由すぎるが故に、集団指導の中では扱いにくかったのかもしれません。まだハーフという存在が珍しかった90年代前半のベッドタウンではアジア系とはいえ、見た目を含めてとっつきにくかったのかも。

聞いてもらえない悲しさをどうにかするために、聞いてもらうための工夫(あるいは妥協)と、聞いてもらえなくても仕方ないと考える諦めが自分の中に技術として備わっていったのだと思います。

 

一方で、声をあげているのに無視をされている人たちの存在が気になるようになりました。街で大きな声を出している路上生活者や、駅前で手書きのプラカードで独自の主張をしている人、聖書について書かれた本を配っている人たち(大人たちは敬遠する存在)が具体的に何をいっているのか気になる。

 

選挙のおもしろさは中学生の頃に知りました。

大政党間の対立が注目される中で、手をあげているのに話を聞いてもらえていない「泡沫候補」とされている人たちの存在が気になり、彼らの主張を追いかけるようになったのです。

 

現代美術に興味がわいたのは高校生の頃です。

なんだかよくわからないけれども、おもしろくて、知的で、意味がありそうでなさそうで、それでいて多くの人には話を聞いてもらえていない美術作家の存在に注目するようになったんだと思います。

 

「泡沫候補」と呼ばれて蔑まれ、結果を出せていない人たちの中には、傾聴に値るす素晴らしい主張やバックグラウンドを持った人もいれば、支持を集められないのも当然と思えるような、破綻した主張をしている人もいます。

ただしそれは大政党の公認候補者でも同じことです。

主張の内容に踏み込む前に判断がなされていて、マーケティングや自己アピールが上手かどうかで勝負が決まってしまっている。

民主主義社会の基礎となる選挙に、代議員として私たちの代わりに議会で発言してくれる「選択肢」を私たちに提供してくれている貴重な存在として、まずは彼・彼女らの話を聞くところから始めたい。

現代美術に関しても同様です。社会では「なんだかよくわからない」と切り捨てられることばかりで、逆になんだかよくわからないものが「現代アートみたいだ」と形容されている。あるいは必要以上に高尚なものとして持ち上げられ、権力の道具にされる。

私は、美術という手段で作家が伝えようとしていることが、より広く伝えることができて、コミュニケーションを深めることを実現したいと考えています。

 

無視をされても、大きな声が出なくても、発し続けられている声を拾って、なるべく多くの人に伝えるアンプリファイアのような役回りが私の仕事です。

 

2019.10.13.

台風が過ぎ去った名古屋のスーパー銭湯にて

宮原ジェフリーいちろう

Jeffrey Ichiro Miyahara-Mendoza